Appleは2025年3月4日、ティム・クックCEOのXアカウントで「今週」というテキストと共に、短い動画を投稿しました。動画には「there’s something in the air(空気中に何かがある)」と書かれており、新型iPad Airの発表を示唆していました。
そして同日、Appleは新型iPad Air(第6世代)とiPad(第11世代)を発表しました。しかし、その内容を見てみると、順当な進化の反面、隠された課題あると言わざるを得ません。
この記事では、新型iPad(A16)とiPad Airの微妙な点に焦点を当て、なぜガッカリ感が漂っているのかを徹底的に解説していきます。
基礎スペック比較
まず、新型iPad 11とiPad Airの基礎スペックを比較します
項目 | 新型iPad (第11世代) | 新型iPad Air (11インチ) | 新型iPad Air (13インチ) |
チップ | Apple A16 | Apple M3 | Apple M3 |
ディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ |
解像度 | 2,360 x 1,640 | 2,360 x 1,640 | 2732 x 2048 |
カメラ | 広角12MP, ƒ/1.8絞り値, 5枚構成レンズ, スマートHDR 4,ビデオ撮影 (最大4K 60fps) | 広角12MP, ƒ/1.8絞り値, 5枚構成レンズ, スマートHDR 4,ビデオ撮影 (最大4K 60fps) | 広角12MP, ƒ/1.8絞り値, 5枚構成レンズ, スマートHDR 4,ビデオ撮影 (最大4K 60fps) |
ストレージ | 128GB, 256GB, 512GB | 128GB, 256GB, 512GB, 1TB | 128GB, 256GB, 512GB, 1TB |
バッテリー | – | – | – |
重量 | 477g (Wi-Fi) / 481g (5G) | 460g (Wi-Fi) / 460g (5G) | 616g (Wi-Fi) / 617g (5G) |
その他 | Apple Pencil (第1世代)/Type-C 対応, Wi‑Fi 6 (802.11ax), Bluetooth 5.3 | Apple Pencil Pro/Type-C対応, Wi‑Fi 6E (802.11ax), Bluetooth 5.3 | Apple Pencil Pro/Type-C 対応, Wi‑Fi 6E (802.11ax), Bluetooth 5.3 |
現行機種との比較


一言で言うと、チップしか変わってません、買い替える必要は全くないと思います。
ディスプレイ
3機種ともにLiquid Retinaディスプレイを搭載しています。(変更なし)

これは、IPSテクノロジーを採用したLEDバックライトMulti-Touchディスプレイで、広色域 (P3) とTrue Toneディスプレイに対応しています。
(Airに関しては)反射防止コーティングも施されており、屋外での視認性も良好です。
ただし、上位モデルであるiPad Proに搭載されているUltra Retina XDRディスプレイと比べると、発色やコントラスト比で見劣りします。
しかもいまだ3機種とも60Hz駆動であるという点も他社に遅れをとっている点です。
Airに関しては9万円近くするのでせめて90Hzには対応して欲しかったですね。
カメラ
新型iPad・新型iPad Airともに広角カメラのみを搭載しています。
(Air・無印ともに性能は同じ)

広角カメラはどちらも12MPで、5枚構成レンズを採用し、Focus Pixelsによるオートフォーカスに対応しています。スマートHDR 4により、写真やビデオのダイナミックレンジが向上しています。
価格設定は妥当
新型iPad Airの価格は98,800円からとされています。一方、新型iPadの価格は58,800円からです 。前モデルと比較して、両機種とも据え置きとなり、無印iPadに関しては容量が2倍になっています。

これまでは64GBで6万円という微妙な価格設定だった無印モデルも、以前までのコスパ最強とまでは言いませんがだいぶ良くなってのではないでしょうか。
デザインに進化なし?
iPad Airは、前モデルからデザインに大きな変更がないようです。

ベゼルレスデザインやUSB-Cポートの採用など、前モデルで既に刷新された部分が多く、新鮮味に欠けます。
せっかく新モデルが出るなら、もっと大胆なデザイン変更を期待したいところです。
性能は本当に向上しているのか?
新型iPadはA16、とiPad AirはM3チップを搭載しています。
M3チップは、8コアCPU、(Airは9コア、Macに載ってるものは10コア)GPU、16コアNeural Engineで構成され、100GB/sのメモリ帯域幅を備えています。

確かに性能は高いですが、このM3チップはMac用に製造している時に出た不良個体の可能性が高く、個人的にはあまりいい気はしません。
また、無印iPadもA16 Bionicチップを搭載しており、性能差は縮まっていると考えられており、性能だけでわざわざ高価なAirモデルを選ぶメリットが薄れている気がします。
機能面での物足りなさ
新型iPadはApple Intelligenceに対応していません。(Airは対応)
Apple Intelligenceとは、Appleが今後展開していくであろうAI機能です。
(ただ個人的にはApple intelligenceはあったら嬉しい程度の機能なのでなくても別に困りはしないと思います)
他タブレット端末との性能比較
Androidタブレットと比較すると、iPadは依然として高価格帯です。近年では、Xiaomi Pad 6など、高性能で安価なAndroidタブレットが登場しており、iPadの優位性は揺らいでいます。
機種 | OS | チップ | メモリ | ストレージ | 価格 |
新型iPad Air (11インチ) | iPadOS | Apple M3 | 8GB | 128GB〜 | 98,800円〜 |
Xiaomi Pad 6s Pro | Android | Snapdragon 8 Gen 2 | 8GB/12GB | 256GB/512GB | 84,800円〜 |
Galaxy Tab S9 | Android | Snapdragon 8 Gen 2 | 8GB | 128GB | 124,799円〜 |
上記のように、Xiaomi Pad 6はiPad Airと比較して、価格が低いのに、Snapdragon 8 Gen 2を搭載し、高い処理性能を備えています。
コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては、Androidタブレットの方が魅力的に映るでしょう。
過去iPadシリーズとの比較
過去のiPadシリーズと比較しても、今回の新型iPadとiPad Airは進化の幅が小さいと言えます。
機種 | チップ | ディスプレイ | その他 |
iPad Air(第6世代) | Apple M2 | Liquid Retinaディスプレイ | Apple Pencil Pro対応 |
iPad Air (第5世代) | Apple M1 | Liquid Retinaディスプレイ | Apple Pencil (第2世代)対応 |
iPad (第10世代) | Apple A14 Bionic | Liquid Retinaディスプレイ(ホームボタンなし) | Apple Pencil (第1世代)/Type-C対応 |
iPad (第9世代) | Apple A13 Bionic | Retinaディスプレイ(ホームボタン) | Apple Pencil (第1世代)対応 |
特に、iPad Airは前モデルから大きな変化がなく、買い替えの必要性を感じにくいのが現状です。
新型iPadは、チップがA14 BionicからA16Bionicに進化したものの 、ディスプレイはLiquid Retinaディスプレイのまま 、Apple Pencilも第1世代対応で、大きな進化とは言えません。
まとめ
新型iPadとiPad Airは、順当な進化を遂げているように見えますが、価格設定、デザイン、性能、機能面など、様々な点で疑問が残ります。
他タブレット端末や過去のiPadシリーズとの比較を考えると、その優位性は薄れており、魅力に欠けるモデルと言えるでしょう。
特に、画面の60Hz駆動ディスプレイは他の企業と比べて劣っている部分ですし、2025年のこの時代にいまだ60Hzで9万円は信じられないと思います。
今回の新型iPadは、正直言って期待外れと言わざるを得ません。Appleには、今後のiPadシリーズで、ユーザーを驚かせるような革新的な進化をすることを期待したいですね。
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